週末ひとり旅

週末の旅の記録です

2021年GW 下北半島への旅 三日目

 朝起きると、そこには綺麗な景色が広がっていました。

 昨晩はすべてに恐怖を感じびくびくしっぱなしだったけれど、陽があがれば恐怖心は小さくなり、気持ちが大きくなります。光に左右される私の心…単純だなぁとも思います。

 さあ、また今日も新しい自由な一日が始まった!心は羽のように軽やかです。一日何をして過ごそうか・・・

 まずは「川内川渓谷遊歩道」に行くことに決めます。私は歩くことが好きなので、下北半島で気持ちのよさそうなハイキングコースをいくつか調べておいたのです。

 起点になるむつ市陶芸センターまでは車で20分程度。気持ちの良い森の道です。

 駐車場?というか空き地に車を停め、身支度を整えて出発!この旅初めてのちゃんとしたハイキングです。 

 

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             ここに停めていいのかな・・・  

 

 道は新緑の木々の間を行きます。人はだれもおらず鳥の声だけが響いており、心が凪のように静まります。悩みやすい私は歩いているといつも、過去にやってしまった不義理や、人にしてしまった酷い仕打ちなどが頭の中に延々とにじみ出てきて、苦しい気持ちになってしまいます。山登りやハイキングが大好きなのですが、昔からそのことには苦しんできました。人と一緒に歩いていると最悪です。気分が落ち込むので、今度は一緒に歩いている人にまで酷い態度をとってしまうことになるのです。でも、色々な本を読んだり情報に触れたりする中で、ネガティブな感情が生まれてくることは人間にとって自然なことであるということを知り、またそんな時は暗い思い出が出てくるに任せて、そっと思考を今やっていることに集中させていくという対策法も知ることができました。以前はラジオを聞きながら歩くことで思考をそらしていたのですが、今は心を強くする訓練だ!と思い、自分の暗い思考に向き合いながら歩くことにしています。 

 しかし、今日はあまりに穏やかな日で、道も緩やか、新緑が美しすぎてネガティブな思考が湧き上がってきません。静かな幸福感がずっと心ににじみ出てきます。こんな日もあるのだなぁ、とその幸福感を噛み締め、素晴らしい気分を存分に味わいながら天国のような道を行きます。

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クロモジの花が可愛らしい

 

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オオカメノキ

 

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遊んでるみたいなチゴユリ

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手招いているようなブナの新芽




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芽吹いたばかりの柔らかい新緑

 

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マイヅルソウかな?瑞々しい!

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美味しそう・・・

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小さな編み笠のようです

 幸せな気持ちが訪れてくれた時には、その気持ちを存分に噛み締めるように心がけます。この遊歩道を歩いているときは、すべて平和で満ち足りて、私の人生に問題など一つもないようなふわふわした幸福感にずっと包まれていました。(もちろん実際は問題山積みなんですけど)
 2時間6キロほど歩いてこの幸せなハイキングは終了です。

 さて、次。すぐ近くに「ふれあい温泉かわうち」という温泉施設があるので、向かいます。

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小さな風情ある温泉施設でした

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昭和な感じが残る廊下が素敵です

 鄙びた懐かしい感じのする温泉施設で、地元の方が何人かお湯を楽しんでいました。人里離れた山の中に静かに湧く温泉と、それを穏やかに守っている人の生活を想像したりします。私が遠い埼玉に戻っても、この温泉は湧き続け、番頭さんは受付に座り続け、このあたりの方たちが静かにお湯につかり続けるんだなぁ、と思うと、当たり前のことなのですが、不思議に思えてきます。
 お湯はかなり熱く感じました。下北半島の温泉は、どこもとても温度が高いみたいです。長くは浸かれませんが、入っているとやっぱり心が明るくなるようです。静かでいいなぁ・・・こんな温泉が自分の家の近くにあるといいのに・・・

 タイムスリップして異次元に迷い込んだような、夢のような時間を過ごし、現実に戻ってきます。

 これからまた一つ夢をかなえに行きます!いよいよ大間のマグロを食べに大間崎へ向かうのです!

 川内温泉からは1時間程度の道のり、途中これも山の中に湧く温泉、湯の川温泉や、かもしかラインというくねくねした山道を通り抜けていきます。素敵な道でした。(夜の山道はとても怖かったけれど・・・昼間はいいですね!)

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車道脇にはニリンソウが咲き乱れていました

 さて、大間崎に到着!

 大きな駐車場があったのでそこに車を停めます。人が多い・・・

 一人なので観光地はドキドキします。変な人に見られないかな、寂しそうに見られないかな、と心配事は尽きません。でも、せっかく来たのだからやりたいことをしよう!

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「魚喰いの大間んぞく」さん 結構な行列!

 まずは何といっても大間のマグロを食べることから!

 行列に一人で並ぶのも中々勇気がいるのですが、頑張って並びます。下北半島の先端に大行列・・・やっぱり大間は凄いなぁ。

 店先ではお店のお兄さんがイカを焼いていて、並んでいるお客さんと会話を楽しんでいます。こういうのがなかなか苦手・・・うまく話せないし、その上一人だからさらに自信がないし・・・順番が来てしまうのを緊張しながら並びます。
 「どこからいらっしゃったんですか?」

 「埼玉から・・・こんな時期なので申し訳ないのですが・・・大間でマグロを食べるのを楽しみに、長距離ドライブをしてきました。」

 「みなさん、そんな感じですよ!」

 優しいお兄さんと無事会話ができてホッとします。というか、この旅で人と話せたのってものすごく久しぶりかも。なんだか久しぶりに人の温かさに触れたような気がして、お兄さんのことをすごく好きになってしまいます。本当に単純だなぁ・・・

 お店の中の方も、一人客の私にも温かく接してくれて、無事大間のマグロを注文することができました!私凄い!!

 

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三種のマグロ丼

 見た目にまず感動!

 なんて綺麗なのか・・・このためにはるばるここまで・・・

 味も最高です!!舌が肥えているわけではないので、ものの良しあしがわかるわけではないけれど、本当に美味しかったです。人の温かさにも久しぶりに触れられて、心も体もほっこりと温まってお店を出ました。

 大間にはほかにもマグロを食べさせてくれる店がちらほらありましたが、そんなにたくさんお店があるわけではないようです。私はたまたま、youtuberの「埼玉の仙人」さんがこちらのお店に行っていたのを見て来てみたのですが、ほかのお店にも行列ができていました。

 さて、大間崎の観光も忘れてはなりません。有名なオブジェと写真も撮りたいし。

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有名なオブジェ!見られて嬉しい!!

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本州最北端まで来たんだなぁ

 色々見て回り満足。お土産は勇気がなくて買えませんでした・・・小さなお店に入って色々声をかけられるのが苦手なんです。そして声をかけられると、気が弱すぎて買ってしまうし・・・

 しかし、大間は風が強い!ずーっと強い風が吹き続けています。毎日こうなのか、たまたまなのかは分かりませんが、毎日がこの風の中での生活となると、本当に大変だなぁと感じます。どこへ行っても何をしていてもすごい風の中。あまり集中もできません。もう少し景色を見たい気もしましたが、あまりの風の凄さにはやばやと車に撤退します。

 旅も三日目、一番の目的も果たし、そろそろ帰り路のほうへ走っていく頃合いです。

 帰り道に観光スポットがもう一つあります。「仏ケ浦」です。奇岩がたくさんあるということなのですが、どんなところなんでしょう。

 駐車場に車を停めます。観光案内を見ると、ここから結構歩くみたい。知らなかった・・・

 気持ちの良い森の中を20分ほど歩きます。

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道端にはニリンソウの大群落!


 結構急な階段が続き、登ってくる人は辛そうです。帰り道私も辛いかも・・・ちょっと心配になります。

 下にたどり着くと、そこには奇岩がたくさん!

 

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観光客もたくさんいました

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海から船で見るのも素敵みたいです

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海の色がとても綺麗だったのも印象的です

 夕方だったけれど、観光客も多いし人気スポットなんだなぁ。

 のんびり観光して、いざ急な登りの階段へ。暑さに大汗をかきながら登りました。

 この時点でもう16:30。そろそろお風呂と寝る場所を決めないと。

 車に戻って、よさそうな温泉施設を探します。

 むつ市街も見てみたいな・・・むつ市内でいい温泉はないかな、とスマホを検索します。いろいろと魅力的な温泉が出てきた中で私が気になったのは、「むつ矢立温泉」でした。なんで心に引っかかったんだろう?今となっては分からないのですが、この温泉がこの旅史上一番心に印象を残した温泉といっても過言でないくらい、私にとって最高の温泉となりました。この人生で、絶対にまた何度も訪れたい温泉です。(遠すぎて悲しいですが・・・)

 むつ市内はかなり開けている印象です。ファミリーレストランもあるし、大学もあるみたいで、今までめぐってきた北の最果て感はなく、にぎやかで明るい感じです。若い人が道を歩いている姿も見えます。

 むつ矢立温泉は、そんなむつ市内にあるのですが、ナビに従うと細い山道を登るよう案内されます。途中には三角屋根のバンガローやゴルフ場が。なんだかいろいろなものがごちゃごちゃおかれている感じ。そんな感じなので、最初の印象はあまりよくありませんでした。まぁ、体を洗えてゆっくり湯に浸かれればいいか・・・

 温泉もまた三角屋根の建物のようです。

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とっても個性的

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あまり期待せず、中に入ってみます。


 脱衣所の中に入ると、演歌が流れていてとてもレトロな雰囲気。地元の年配の方たちで賑わっており、若い人もちらほらいる感じ。なんだか落ち着くなぁ・・・

 さて、浴場に入ってみます。

 入ってその作りにびっくりします。今まで見たどんな温泉とも違います。こんな作り見たことない!

 浴場は湯気で霞んでいて幻想的な雰囲気。そこに演歌や、桶のぶつかる音などが響いて、さらに現実感のない非日常の世界が広がっています。湯船が浴場のど真ん中にどーんと大きくあり、真ん中の大黒柱のような大きな柱から、湯があふれ出しています。壁沿いには洗い場がずらーっと並んでいて、ひとつひとつあたたかい光がともっていて心もじんわりと温かくなっていきます。

 もうその雰囲気から大好きになっていました。

 そして、温泉!湯の色は茶色っぽい感じでかなり熱めです。周りの熱い湯気も相まって汗をだらだらかいてしまって長く入っていることはできません。「これはすぐに上がってしまうしかない感じかな・・・残念だな・・・」と思って周りを見回すと、湯船のふちに寝っ転がってトド寝をしている人多数。枕を準備して寝ている人までいます。みなさん、熱い湯に入ったら湯の周りで横になり、溢れてくる温泉で背中を温めながら体を冷ましてまた湯に入る、というループを繰り返しているようです。

 そして水風呂も発見!ホースで小さな湯船にジャーっと水が豪快に入っています。入っても大丈夫かな・・・?初めてのところだと作法がわからないので少しドキドキしながらも小さな湯船に少しずつ体を入れます。水は冷たいのですが、冷えすぎてはおらず本当に気持ちがいい!熱い温泉で体が火照りきっているので、水風呂が最高です!!

 湯に入ってふちで休み水風呂で締める、この流れを何度楽しんだか・・・もうこの温泉から出たくない・・・と思えるほどの気持ちよさでした。ここは本当に何度も来たい。どんなに遠くたってまた絶対に訪れようと心に決めるのでした。

 

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看板に貼られていた浴場の様子です

 さぁ、ハイキングから始まった今日の旅もこれで終わりです。今日もたくさん素晴らしいものを見て、体験した充実した一日でした。このあとどこで車中泊しようか・・・

 一番近そうなのは「道の駅よこはま」ですが、さらに南の「道の駅しちのへ」も一時間半くらいで着けそうです。明日のために少しでも距離を進めておこうと、「道の駅しちのへ」まで頑張ることにします。

 

~かかったお金 約11570円~

ガソリン       4600円

ふれあい温泉川内     380円

大間のマグロ ノンアルコールビール 4300円

むつ矢立温泉      690円

ローソンで夕食    1600円